読書・ドラマ感想

読書感想:セシルの女王

セシルの女王」は、「あさひなぐ」のこざき亜衣による歴史漫画で、ビッグコミックにて連載中です。2022年10月時点で2巻まで刊行されています。週刊連載のため、4ヶ月に1冊とハイペースで読めます。

時は1533年イングランド。善悪や権力、命の行方さえ不確かな時代に、明日を夢見る少年が居た。衣装担当宮内官である父に連れられ、12歳のウィリアム・セシルは初めて城へ登ることに。王に仕えることで出世を目論んでいたが、そこに君臨していたのは、傍若無人なヘンリー8世だった。夢見ていた王宮との差に落ち込んだ少年は王妃アン・ブーリンと出会い、彼女のお腹の中の子……未来の“王”に仕えることを誓うが――誇り高き女王と、彼女を支えたある忠臣。新時代を築く本格歴史ロマン(公式サイトより引用)。

ビックコミックとは思えない、少女漫画風の可愛らしく美麗なイラストですが、しっかりした取材に基づいているだろう骨太な内容と、中世のドレスや装飾品、城などが緻密に描き込まれていてとても読み応えがあります。

コミックバンチの磯見仁月さん原作の「傾国の仕立て屋ローズ・ベルタン」のように、史実に基づきつつも、読みやすくアレンジされている万人受けするバランスの良い作品です。

「ローズ・ベルタン」は平民女性のローズ・ベルタンがマリー・アントワネット専属のファッションデザイナーとしてのし上がっていく過程を描いており、女性の社会進出を裏テーマとしています。一方、「セシルの女王」では没落した貴族に代わって能力のある平民が女王の側近として活躍するという、平民の立身出世を裏テーマにしているように思います。時代のうねりを感じるという意味でも非常に似たテイストだなと感じました。

歴史物好きではありますが、高校で世界史・日本史を選択しなかったこともあり、あまり歴史に詳しくありません。「ローズ・ベルタン」の下敷きになっているマリー・アントワネットほどの有名なエピソードのないエリザベス女王とウィリアム・セシルのお話ということで、Wikipediaのネタバレは見ずに単行本を読み進めていきたいと思っています。

10代のセシルの可愛らしいこと、過去のハマったジャンル問わず黒髪美少年にときめいてしまうのは、我ながら一貫しているな、と思います(笑)。