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劇場版「呪術廻戦0」感想

呪術廻戦0、2日連続で鑑賞してきました。1回目はTOHOシネマズ新宿・スクリーン7ど真ん中、2回目、3回目はTOHOシネマズ日比谷・IMAXど真ん中です。どちらもほぼ満席でした。

呪術廻戦0

あらすじ

幼いころ、結婚の約束をした祈本里香が交通事故で亡くなる瞬間を見た乙骨憂太は、彼女の呪いに苦しめられていた。ある日、憂太の前に東京都立呪術高等専門学校の教師で、最強の呪術士の五条悟が現れる。里香の呪いが原因で周囲の人を傷つけていた憂太は、呪術高専に転入し、里香の呪いを解こうとする。(Yahoo映画より引用)

現時点で有名どころのレビューサイト(Yahoo映画、Filmarks、映画.com)のレーティングは、5点満点中4.0〜4.3点と中々高評価です。

0巻大好き

呪術廻戦0巻のストーリーは、個人的に本編よりも好きです。

本編では人間の負の感情から呪いが生まれると前置きして、主人公が巻き込まれる事件に関わる敵はわかりやすく悪です(背景には哀しい出来事と複雑な人間模様がありますが、倫理的に見て多くの一般人に対して悪い影響を与えるという意味です。敵キャラの背景も説得力あり魅力的であることは間違いないです。)。

呪術廻戦0では、主人公が悩まされる呪いは必ずしも負の感情からではなく、純粋無垢な愛だからこそ拗れています。「愛ほど歪んだ呪いはないよ(五条先生談)」等々、中々少年漫画ではお目にかからない名言とザラついた感情が全面に出されています。

ストーリーを一言でいえば「乙骨憂太の成長譚」と分かりやすいですが、主人公の成長の動機は「強くなりたい」とか熱血スタイルではなく、生い立ちや血筋からやむ得ずそうなったという感じで、分かりやすいジャンプらしさからは少し外れてると思います。

でもそれが自分にはすごく刺さりました。作者がアニメ、少年漫画、少女漫画、小説、映画、色々なメディアに影響を受けているのはファンブックでも書かれていましたが、いい意味で色々なエッセンスが融合されていてパクリではなくリスペクトオマージュになっていると思います。少女漫画的な甘酸っぱいポイントは、本編ではあまり描かれない部分かなと思います。

舞台が日本で、警察に手の負えない呪いによる案件については実は呪術師が暗躍しているという、説得力のある設定なのも刺さりやすいポイントです。

感想

1回目は期待しすぎてしまったためか、通常スクリーンだったからか、粗探しみたいになってしまい落ち着いてみられませんでしたが、2回目IMAXで鑑賞した時は、音響や映像が最適化された状態で没入感があり、本編より好きな0巻の世界観が最高に近い形で劇場公開されたことに感動しました。

純愛(初恋)、青春、友情、成長、バトル、ホラー、大人の拗らせ感情、甘酸っぱいboy meets girl、美しい情景、etc、エンタメのいいとこ総取り感があるのに、きちんと1つのストーリーとして綺麗に完結しており、改めて、0巻が極めて良く出来たプロットだったのだと思いました。

初見の人にも分かりやすく、原作・アニメファンにも嬉しい追加カットもあり、ジャンプらしくオールスター感もありました。音楽も相変わらずカッコよく、静のシーンでは透明感のある綺麗な曲がセレクトされて雰囲気ありました。オープニングタイトルまでの流れは、ジブリとか新海誠を彷彿とさせる趣があって、個人的に満足度120%でした。

主人公乙骨の声に関しては賛否両論あるみたいですが(個人的にも男性で良かったのではと思う)、呪術廻戦自体がエヴァンゲリオンをリスペクトオマージュしており、作者が緒方恵美さんを直接指名したとのことなのでそれが正解なのでしょう。碇シンジ感満載でしたが、乙骨の感情の振れ幅の大きさ不安定さ、少年から青年への成長が感じられて良かったと思います。

里香ちゃん解呪のシーンは、内容を知っていてもウルッと来るものがありました。

今ひとつと思った点

非常に完成度高く、素人が口出しできるレベルではありませんが、より伸び代があるとすれば、真希さんとの剣術トレーニングシーンでの乙骨憂太のまつ毛の入れ方が一部残念だったのと、エンディングクレジットの間延び感です。主題歌はどちらも力作ですが、どちらか一本に絞って、片方は劇中で流しても良かった気がします。

また、乙骨vs夏油のバトルシーンと東京・京都のバトルシーンの切り替えと追加シーンは賛否両論ありそうですが、個人的には好きでした。

それ以外はほぼパーフェクトと言える形で映像化されていたんじゃないかと思います。

まとめ

総じて、満足度は高かったです。厳しいスケジュールでここまでのクオリティで仕上げたMAPPA様はじめ製作陣、キャストには感謝しかないので、できる限り応援(課金)したいと思います。

おまけ

0の真希さんは本当に可愛い。ツンデレ界の鑑と言えます。0は眩しい青春でした。乙骨くんと真希さんの教室のシーンは甘酸っぱくてキュンとしました。

本誌では真希さんは文字通り禪院家をぶっ壊してしまったので、呪力ゼロを活かした死滅回遊での活躍は見込めても、作者の価値観では幸せにしてもらえなさそうな気がします。真希真依は親含めた一族から命を狙われていたので、真希さんが禪院家を壊滅させなかったとして、怒り狂った乙骨くんによる壊滅ルートしか見えないので、もう渋谷事変と死滅回遊の時点で詰んでたんですね。